仕事をしていく中で会社からほぼ達成不可能なノルマを課せられたり、立場上、不可抗力的な事態への責任を取らざるを得ない状況は、現実社会の中ではよくありがちな事です。そして、真面目な人ほど達成の難しい領域への責任を自身へ課してしまいがちです。
高いレベルでの目標達成を目指したり、自身の努力やスキルをもって、より広い職務領域に良い影響を及ぼそうと意識することは自身の成長にもなりますし、実際に顧客やあなたの会社に貢献しているのだと思います。
しかし、同時にそういった「意識の高さ」を持つ程、自分自身へプレッシャーをかけ精神的ストレスが増していきます。
確かに、顧客や会社からの過剰な要求そのものをコントロールすることは難しいですが、コントロールが可能なものとしては自分で自分を責める思考が挙げられると思います。
表面的でさえ、ノルマの未達成や不可抗力的な事態への対処は精神的に辛いものがありますが、心の中でも自分自身を責めてしまうのか、せめて心の中では自分自身を守ってあげられるのか、この両者の差が心身に不調を生じさせる境界線を超えるか否かを分ける場合もあります。
責任やノルマのプレッシャーを強く受け止めることで高まる精神的ストレス
また、仕事を進めていく上では未来(まだ起こっていない事)への不安も精神的ストレスを高める要因になります。様々な事態を想定して事前に対処を講ずるのは良い事ですが、様々な事態を想定して未来を心配する事は精神的ストレスを高めます。
なぜなら、想定される未来は無数に存在するわけですから、それらが合わさると、非常に大きな精神的ストレスとして心身の健康に悪影響を及ぼします。
心配性な人ほど、いわゆる「くたびれ儲け」だった過去が沢山思い浮かぶのではないでしょうか。
そして、この状態がエスカレートし、悪く想像した未来を「悲観」する様になると心身の健康を損ねるリスクは更に高まります。
しかし思い返してみると、良くも悪くも、これまでの人生で想像したとおりに状況が推移したケースがどれほどの確率で起きたかを振り返ると、決して高くない事を気付かされます。
そして、様々な未来を心配し悲観にくれる事は、今現在に意識が集中出来ていない事の裏返しでもあり、目標達成能力を低下させます。そして同じ事は、過去の出来事を思い返し悩む事でも起こり得ます。
仕事を行っていく上で感情を抑え続ける事の限界
冷静さが求められるビジネスの世界において、感情的に下される思考や判断はネガティブに捉えられがちであり、「感情を抜いた思考や判断」が良い事として語られるシーンをよく目にします。しかし、本当にその様なことが可能なのでしょうか?
何が起きても動じない心や起きた感情を抑え続けるのは、かなり難しい事のように思えます。
また感情には、例えば激しい怒りによって自暴自棄になり結果的に望ましくない結果を招く場合もあれば、望ましい結果を得る為の適応的な側面もあります。
悪い未来を想像し、そこから湧き起こる恐怖の感情が強いからこそ、そうなることを避け、より良い状況へ運ぶ為の手段を模索し行動する力が高まる様な事や、怒りの感情を表明することが、理不尽な要求をしてくる相手に翻意を促すような状況もしばしば見受けられます。
自身にとって理想的な状況を実現させる為に感情とどのように付き合い、時に感情を上手く利用していく為には思考の枠組みや起こった感情への対処変えていく必要があります。
未来や過去に対する感情への目標志向的な付き合い方
不可抗力的な事態に対する自責思考や、未来・過去への不安や後悔は過剰になることで心身の健康を損ねる要因にもなり得ます。
ここで重要なことは、人により自責思考や、未来・過去への不安や後悔の感情の強さに差があるということです。
その程度の強さに絶対的な正しい値の様な物差しが、はたして存在するのかというと、ある程度の自由度があっても良さそうに思えます。
そして過剰な自責の念や、未来・過去への不安や後悔があなたの思考や行動を硬直化させてしまう様な事で、あなたが本当に望む結果に悪影響を及ぼす可能性を考慮した際、そういった意味合いにおいて「正しい」とは言い切れませんが、どの程度の責任感や先々の心配、過去への反省が、自分が現在直面している状況を上手く乗り越えていく為に必要な心の持ち様なのか考え直す事や、目標志向的な行動を最も取りやすい思考の枠組みを再構築することが、自身にとって納得感のある感情との付き合いが出来るだけでなく、理想に近い結果を得る為のメンタリティーになるのではないかと思います。